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東京同窓会の会員にスポットを当てて紹介します。
こんな 現代 いまこそ、演劇を!!
今回紹介する中野博文さん(高42期)は現在、都内の劇団「Oi-SCALE」の一員として活躍する俳優です。数枚の写真を眺めながら、思い入れのある一枚は?と尋ねると、真っ先にチョイスしたのが、TOPを飾るモノクロ写真。これについては後述することにしますが、ある作品の稽古の様子です。
小さい頃から「表現すること」にこだわっていた。「いわゆる目立ちたがり屋の子でしたね」(中野さん)。
  最初の“表現手段”は絵。クレヨンを片手に、画用紙に自由自在に自分らしさをぶつけていた。「よく描けてるね」子どもながらに、その言葉に餓えていた。その次に見つけたのが音楽。ジャンルはRock。好きだったバンドは「THE BOOM」「ユニコーン」。高校時代は学校が終わると、某時計店の上の練習場に集合していた。
  卒業後、都内の大学へ進学。音楽活動を続けながらも、「表現すること」に関して、どこかしっくりとこないものを感じながら過ごしていた。そんなある日、大学の友人から演劇部の公演を観に行かないかと誘われる。舞台では、コミカルタッチながら、一挙手一投足、男連中が汗だくになりながら必死に演じていた。その姿を目の当たりにして頭をぶっ叩かれたようなショックを受けた。「これだ…」さっそく入部を決意。それから数ヵ月後、呉服屋の若旦那の丁稚奉公として初舞台を踏むことになる。演劇人生の第一歩である。
  大学の演劇部を終えた後は、フリーランス的にいろいろな劇団の舞台に立った。歴史絵巻、コメディ、名作…時には王妃役までこなしてみせた。場数を踏む中で、お客さんとの呼吸や間合い、暗黙の駆け引きも会得していった。
 

この作品では、夫婦仲が上手くいってない上、問題からも逃げようとする内弁慶の男、二条公春を演じた。(左)

 

【最近の公演〜コーポラティブハウス】

コーポラティブ(組合)ハウスとは、参加者同士で建設組合を設立して、共同で用地を取得し、設計・建築する入居者主導型の集合住宅。自由設計が可能で、予算を抑えて自分好みの家が作れる。建物のネーミングや外壁の仕様、共有スペース、屋上の使い方などもすべて組合の総会で決めていく。そして、その中で隣人同士が感性や人となりを自然と分かり合うことができる……はずなのだが、人は好みも価値観も違うので、そうも簡単にゆくわけがない。この物語は、マイスタイルのマイホームを獲得するため、家族のような集合住宅を作ろうとした愛すべき愚か者たちの記録。


演劇は消えることなく
 中野さんは自信をもって話す。「世の中から演劇はなくならないと思いますよ、絶対に。こんな世の中だからこそ、演劇が必要とされるはずです。」熱い語りが続く。「世の中が、どんなにデジタル化されようとも、例えば絵画は生身の人間の表現手段として、ちゃんと残って人々との心に感動と癒しを与えています。演劇も同じように生身の表現方法として残り続けるはずです。ネット…いわゆるバーチャルな世界では、死にたいと言えば賛同者が集い、犯罪を予告すれば、本当に実行してしまう。どうして、そばにいる人に相談しないのでしょうか?止めてくれますよ、やめろ!って言って。そんな人行き詰まった人たちに、ぜひ演劇を見てもらいたいです。生身の人間が演じる迫力、感動を味わって欲しい。必ず何かが変わるはずです。演じる者の叫び…そこから生きる何かを掴んでもらえるはずです」。
目指すは遠洋漁業??
 中野さんは生まれ故郷である向津具をこよなく愛する。「地元の子どもたちって、道ですれ違うと元気に挨拶してくれませんか? そう言えば、コンビニに「ごめんください」って入ってくる子もいました。あいさつ一つで無機質なコンビニが温かさに包まれましたね。それ以来、近所の方やお店なんかでも、できるだけ挨拶をするようにしているんです。僕という人間がここにいるぞと、存在感を示すと同時に、あなたという存在を認識して尊重していますよ、という感じで。故郷を離れて、この歳になったからこそ、なんだか田舎から学ぶ事が多いような気がして」。
  いつかは生まれ故郷に帰りたい…という想いがあるようだ。「遠洋漁業のように、公演の一ヶ月前に上京し稽古をして、公演が終わればまた帰る。そんな暮らしができたらいいのに」と笑みを浮かべながら語る。
  地元での公演もできたらいいなと話す。冒頭の写真は、かのシェークスピアの名作『真夏の夜の夢』で妖精の王妃を演じた際の稽古シーン。妖精の王と后のケンカに巻き込まれて、いたずら好きの妖精パックが惚れ薬を誤用したために、思いがけない恋の食い違いが生じた大騒動を描いた幻想喜劇。「赤崎山の桟敷で、この作品を上演したらいいのにって、思うんですよ。夏の夕暮れにたくさんの妖精たちが、あの自然に囲まれた劇場で舞い踊る…どうですか!」
  瞳を輝かせながら語る中野さん。そこには表現者や俳優といった存在を越えた、夢抱く一人のロマンチストの姿があった。
 
地元・長門市で行われた「近松実験劇場」での『仏母摩耶山開帳』の中の網干の太郎左衛門役を演じる

次回公演予定

劇団「Oi-SCALE」次回公演予定。『痛みのない傷』 12/10(木)〜14日(日) 高円寺 明石スタジオ

輝き第1回 末永雄三さんはコチラをご覧下さい窓会

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